社内留保(日本企業、当期末)とは、企業が自社の利益を一定期間にわたり保持しておくことを指します。これは、企業が得た利益の一部を配当や株主への還元を行わずに、会社内に留め置いておくことを意味します。社内留保は、将来の投資や事業拡大、緊急の資金ニーズへの対応などに使われる場合があります。高い社内留保を持つ企業は、自己資本を強化し、安定した経営基盤を築くことができる一方で、配当を増やすなどの形で株主に還元することができない場合もあります。社内留保は企業の財務健全性を評価する際の重要な要素となります。
データ総合
グラフ
プレビューで大分類を選択すると全産業を含めたデータが1960年から2021年まで散布図で表示できます。最大のデータである全産業は現在、33.2兆円となっています。最も古い1960年では3980億円となっていました。最新の伸び率を計算すると170%程となっています。次に大きい非製造業は現在、18.5兆円となっています。過去の1960年では1160億円でした。同じように最新の伸び率を計算すると248%です。全産業と現在の割合を比べると55.8%となります。1960年の割合は29.1%でした。(数値はすべて有効数字3桁)

次に、製造業を選択すると各業種のデータが1960年から2021年まで散布図で表示されます。製造業で現在2021年の最大は自動車・同附属品製造業の2.01兆円です。自動車・同附属品製造業は1960年のデータは284億円でした。現在の伸び率を計算すると20.4%となります。次に大きい業種は情報通信機械器具製造業の1.98兆円です。情報通信機械器具製造業は2004年のデータは303億円でした。最新の伸び率を計算すると166%となります。一方、製造業全体の各業種の平均は1960年では218億円でしたが、現在は7730億円となっています。各年の平均の伸び率を計算すると、1960年の翌年は2.47%であり、現在は111%と計算さます。

非製造業を選択すると各業種のデータを散布図で表示できます。非製造業で現在2021年の最大は卸売業の4.06兆円です。卸売業は1960年のデータは518億円でした。現在の伸び率を計算すると108%となります。次に大きいデータは不動産業の3.67兆円です。不動産業は1960年のデータは41億円でした。現在の伸び率は52%となります。上と同様、製造業全体で各業種の平均は1960年に104億円となっていましたが、現在は7110億円程です。各年の平均の伸び率を計算すると、1960年の翌年は12.5%で、現在は248%と計算されます。

最後に、全産業を選択すると資本金の規模別のデータが散布図で表示されます。全産業で現在、社内留保が最大であるのは10億円以上(全産業)の18.8兆円です。全体の割合を計算すると53.2%となっています。次に大きいのは1千万円以上-1億円未満(全産業)の9.09兆円です。同じように全体の割合を計算すると25.9%となります。逆に、現在最小になっているのは1千万円未満(全産業)の1.81兆円です。全体の割合を計算すると5.14%となります。

これまでの傾向
過去、多くの企業は積極的に社内留保を増やし、財務安定性を確保してきました。これは経済的な不確実性に対処する重要な手段でした。しかし、問題点も存在します。一つは、過度な社内留保が資本の効率的な運用を妨げ、投資機会を逃す可能性があることです。また、社内留保が使途不明瞭であると、株主や投資家からの信頼を失う恐れがあります。さらに、内部留保が過剰に蓄積されると、企業の成長機会を制約する可能性があります。今後、企業は社内留保を適切に管理し、成長への投資や株主還元とのバランスを取る必要があります。透明性と説明責任を重視し、戦略的なリソースアロケーションが求められます。
これからの予想
今後、日本企業の社内留保には以下の展望があります。企業は財務安定性を維持しつつ、内部留保の適切な管理を強化し、バランスを取る必要があります。持続可能性とESGへの対応が重要視され、社内留保は環境への投資や社会的責任の履行に活用されるでしょう。 一方で、成長とイノベーションに資金を供給することも重要です。競争力を維持・強化し、新たなビジネスチャンスに対応するために内部留保を使途に応じて運用するでしょう。 また、経済の不確実性やリスクに備えるための緊急資金としての役割も期待されます。 総括すると、社内留保は長期的な戦略と透明性に基づいて管理され、企業の持続的な成長と株主価値向上をサポートする重要な要素となります。
データ参照元
データは財務省が調査した結果を政府統計の総合窓口 からダウンロードしています[1]。引用元を明らかにすることで商用であってもデータを2次利用できます。項目はかなり多く、種々の産業それぞれに資本金の規模別に 利益や雇用の統計調査の結果が公表されています。グラフ化するに当り、産業別の項目は全規模に限定し、全産業に対して規模別の調査結果に限定しています。
業績は各社の回答を基に統計データを作成していますが、すべての法人の回答を基にしているわけではありません。具体的に、7割強の法人から受けた回答を基にデータを作成しています。回答率や標準誤差の計算方法などは各年の報道発表で公表されています。総務省統計局が公開している日本統計年鑑からも同様に、企業数や業績についての項目があり各年のデータを確認できます。データの参照元は財務省が調査した結果をそのまま引用しており、企業数などに関してはデータの修正や補完等は行っておりません。
引用
ライセンス
CC BY 4.0
まとめ(最新データ)
社内留保(2021)
全産業:33.2兆円, 全規模(全産業):33.2兆円, 1億円以上(全産業):22.3兆円, 10億円以上(全産業):18.8兆円, 非製造業:18.5兆円, 全規模(非製造業):18.5兆円, 製造業:14.7兆円, 全規模(製造業):14.7兆円, 1億円以上(製造業):12.5兆円, 10億円以上(製造業):11兆円, 1億円未満(全産業):10.9兆円, 1億円以上(非製造業):9.78兆円, 1千万円以上 – 1億円未満(全産業):9.09兆円, 1億円未満(非製造業):8.7兆円, 10億円以上(非製造業):7.79兆円, 1千万円以上 – 5千万円未満(全産業):7.05兆円, 1千万円以上 – 1億円未満(非製造業):7.05兆円, 1千万円以上 – 5千万円未満(非製造業):5.88兆円, 2千万円以上 – 5千万円未満(全産業):4.27兆円, 卸売業:4.06兆円, 不動産業:3.67兆円, 1億円以上 – 10億円未満(全産業):3.54兆円, 2千万円以上 – 5千万円未満(非製造業):3.44兆円, 建設業:3.14兆円, 1千万円以上 – 2千万円未満(全産業):2.79兆円, 1千万円以上 – 2千万円未満(非製造業):2.45兆円, 1億円未満(製造業):2.2兆円, 純粋持株会社:2.11兆円, 1千万円以上 – 1億円未満(製造業):2.05兆円, 5千万円以上 – 1億円未満(全産業):2.04兆円, 自動車・同附属品製造業:2.01兆円, 1億円以上 – 10億円未満(非製造業):1.99兆円, 情報通信機械器具製造業:1.98兆円, 化学工業:1.91兆円, 1千万円未満(全産業):1.81兆円, 電気機械器具製造業:1.67兆円, 1千万円未満(非製造業):1.66兆円, 小売業:1.64兆円, 1億円以上 – 10億円未満(製造業):1.55兆円, 情報通信業:1.45兆円, その他の製造業:1.2兆円, 1千万円以上 – 5千万円未満(製造業):1.17兆円, 5千万円以上 – 1億円未満(非製造業):1.17兆円, 5千万円以上 – 1億円未満(製造業):8770億円, 生産用機械器具製造業:8720億円, 飲食サービス業:8620億円, 業務用機械器具製造業:8580億円, その他のサービス業:8380億円, 2千万円以上 – 5千万円未満(製造業):8320億円, 水運業:7000億円, 鉄鋼業:6920億円, 食料品製造業:6620億円, 金属製品製造業:6390億円, その他の学術研究、専門・技術サービス業:5460億円, 非鉄金属製造業:5230億円, 石油製品・石炭製品製造業:4320億円, 1千万円以上 – 2千万円未満(製造業):3390億円, はん用機械器具製造業:3150億円, リース業:2700億円, 窯業・土石製品製造業:2700億円, パルプ・紙・紙加工品製造業:2090億円, 印刷・同関連業:2050億円, 医療、福祉業:1910億円, 職業紹介・労働者派遣業:1810億円, 娯楽業:1600億円, 1千万円未満(製造業):1530億円, 広告業:1480億円, 鉱業、採石業、砂利採取業:1390億円, 繊維工業:1170億円, 木材・木製品製造業:806億円, 農業、林業:784億円, 教育、学習支援業:777億円, その他の物品賃貸業:663億円, その他の輸送用機械器具製造業:653億円, ガス・熱供給・水道業:640億円, 漁業:292億円, 3百万円以上 – 5百万円未満(非製造業):285億円, 5百万円以上 – 1千万円未満(製造業):281億円, 2百万円以上 – 5百万円未満(非製造業):112億円, 3百万円以上 – 5百万円未満(全産業):36.2億円, 2百万円以上 – 3百万円未満(製造業):-8.95億円, 2百万円未満(製造業):-124億円, 2百万円以上 – 5百万円未満(全産業):-147億円, 2百万円以上 – 3百万円未満(非製造業):-174億円, 2百万円以上 – 3百万円未満(全産業):-183億円, 3百万円以上 – 5百万円未満(製造業):-249億円, 2百万円以上 – 5百万円未満(製造業):-258億円, 5百万円以上 – 1千万円未満(全産業):-440億円, 2百万円未満(非製造業):-721億円, 5百万円以上 – 1千万円未満(非製造業):-721億円, 2百万円未満(全産業):-844億円, 生活関連サービス業:-1940億円, 電気業:-2580億円, その他の運輸業:-3720億円, 陸運業:-3810億円, 宿泊業:-7130億円
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