プラチナの価格チャート:価格特性と投資戦略

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プラチナは自動車産業や宇宙開発、医療器具などの工業分野で重要な素材であり、ジュエリー用途でも広く活用されています。その価格は景気に大きく左右され、最近は1gあたり約5,000円程で取引されていまが、経済低迷時には急落することもあります。特に自動車産業での触媒需要が価格に影響を与え、2008年のリーマンショックでは2,000円台にまで下がりました。一方、金は主に投資や宝飾品に利用され、景気後退時でも安定した価値を保つ特性があります。プラチナは短期的なリターンを狙いやすい投資対象である一方、金は安定した長期運用に適しており、それぞれの特徴を理解した戦略的な運用が重要です。

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通貨の換算はドルベースのプラチナ価格を日本円やユーロの為替価格を掛けて計算しています。為替はそれぞれの時間足の始値と終値の平均で算出しています。
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プラチナについて

プラチナは、周期表の第10族に属するプラチナ族元素の一つで、6つの天然同位体を持つ希少な金属です。地殻中の存在量は約5μg/kgと非常に少なく、主に南アフリカのニッケルや銅鉱石、天然鉱床で産出されます。世界の生産量の約80%が南アフリカに集中しており、年間生産量は数百トン程度に限られるため、希少性と重要な用途から高い価値を持つ主要な貴金属とされています。

プラチナは化学的に極めて安定しており、高温下でも腐食に対する優れた耐性を発揮します。このため、「貴金属」として分類され、化学的に未結合の状態で自然界に存在することもあります。歴史的には、プラチナは河川の砂中に自然に存在する形態で、コロンブス以前の南アメリカ先住民によって工芸品の製作に利用されていました。

現在、プラチナは幅広い産業で使用されています。自動車の排ガス浄化装置である触媒コンバーター、実験機器、電気接点や電極、プラチナ抵抗温度計、歯科器具、ジュエリーなどが代表的な用途です。また、ガラス産業では溶融ガラスを扱う際に使用され、ガラスがプラチナを濡らさない特性が利用されています。

一方で、プラチナは重金属としてその塩化物が健康に悪影響を及ぼす可能性がありますが、金属プラチナ自体は腐食耐性が高いため健康への悪影響は確認されていません。さらに、プラチナ化合物は特定の種類のがんに対する化学療法に利用されており、医療分野でも重要な役割を果たしています。このように、プラチナはその希少性と優れた特性から、産業および医療において極めて価値のある金属です。

プラチナの価格

プラチナの価格は、世界経済や産業需要、供給リスクなどの影響を受けて大きく変動してきました。2008年、リーマンショック前の資源バブルによりプラチナは1トロイオンス2,250ドルの最高値を記録しましたが、同年の金融危機で800ドル台まで暴落しました。その後、2011年には1,800ドル台まで回復しましたが、2015年のディーゼル車排ガス不正問題(ディーゼルゲート)により、自動車の触媒用途の需要が低迷し、800ドル台まで下落しました。2020年のコロナショックでは600ドル台まで下落しましたが、経済回復や水素燃料電池への期待で2021年には1,300ドル台まで急上昇しました。2022年にはウクライナ侵攻による供給不安で1,100ドル台を維持しましたが、2023年以降は世界経済の減速とEV市場の成長の影響で900ドル前後まで低下しています。今後もプラチナの価格は、脱炭素技術や産業動向によって変動が続くと考えられます。


2000~2008年:工業需要と投機資金の流入で高騰

  • 出来事:2000年代初頭、世界経済の成長とともに自動車の触媒コンバーター(排ガス浄化装置)向けの需要が増加し、プラチナの価格は上昇しました。南アフリカの鉱山ストライキによる供給不安も影響しました。
  • 価格変動
    • 2000年:1トロイオンスあたり約400ドル。
    • 2006年:1,300ドルを突破。
    • 2008年3月:リーマンショック前の資源バブルで2,250ドルの史上最高値を記録。
    • 2008年10月:リーマンショックの影響で800ドルまで暴落。

2010~2014年:景気回復と供給不安で高値維持も、その後下落

  • 出来事:リーマンショック後、各国の金融緩和策と景気回復により、プラチナ需要が持ち直しました。特に南アフリカでの鉱山ストライキやエネルギー不足が供給不安を引き起こし、価格を支えました。しかし、2014年以降、ディーゼル車市場の低迷で需要が減少しました。
  • 価格変動
    • 2010年:1,700ドル前後まで回復。
    • 2011年:1,800ドル台を維持。
    • 2014年:ディーゼル車排ガス問題などの影響で価格が下落し、1,200ドル台へ。

2015~2018年:ディーゼル車の衰退で低迷

  • 出来事:2015年、フォルクスワーゲンの「ディーゼルゲート」問題が発覚し、ディーゼル車の人気が低下。触媒需要が減少し、プラチナ価格は大きく下落しました。また、パラジウムがガソリン車の排ガス浄化用として代替される傾向が強まりました。
  • 価格変動
    • 2015年:1,000ドルを割り込み900ドル台へ。
    • 2018年:一時800ドルを下回る水準まで下落。

2020~2022年:コロナショックとその後の急回復

  • 出来事:2020年、新型コロナウイルスの影響で世界経済が停滞し、プラチナ価格も急落しました。しかし、その後、金融緩和や脱炭素需要、産業回復により価格は急上昇しました。
  • 価格変動
    • 2020年3月:コロナショックで600ドル台まで急落。
    • 2021年2月:1,300ドルを超える水準まで急回復。
    • 2022年:ウクライナ情勢や供給不安で1,100~1,200ドルの範囲で推移。

2023~2024年:景気減速と代替需要の変化

  • 出来事:世界経済の減速や自動車市場の変化、パラジウムやリサイクルプラチナの供給増加により、価格は低迷傾向に。EV市場の拡大もプラチナの需要に影響を与えています。
  • 価格変動
    • 2023年:900~1,000ドル前後で推移。
    • 2024年初頭:一時850ドル付近まで下落。

まとめ

プラチナ価格は、2000年代の工業需要拡大(2008年2,250ドル)、リーマンショック後の暴落(2008年800ドル)、ディーゼル車問題による低迷(2015年以降)、コロナショックと回復(2020~2021年1,300ドル)などを経て、大きく変動してきました。今後もEV普及や水素燃料電池技術の進展が価格に影響を与えると考えられます。

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